フリーランスでシステムエンジニアをされている人は「業務委託契約書」の存在を身近に感じる機会が多いのではないかと思います。しかしこの業務委託契約書は法律上には存在していない契約です。実態は典型契約の中の「委任契約」か「請負契約」を結んでいることになっています。さてこの委任契約と請負契約という言葉は聞きなじみがあるでしょうか。この二つの契約はかなりルールが違いますので、注意が必要です。慎重に業務委託契約書を読み、目の前の契約は委任契約なのか請負契約なのかを読み解いていきましょう。
業務委任契約とはビジネス用語として存在するだけで法律上は存在していません。そして法律的には「委任契約」もしくは「請負契約」のどちらかであることがほとんどです。この契約の違いを見抜くには原則として「○○を委託する」という文言が契約書にあった場合は委託契約で、「■■を請け負う」という文言があった場合は請負契約だと考えてくださって結構です。
さて委任契約を簡単に説明すると「業務やサービスを行うという行動面」を重視する契約で、請負契約を簡単に説明すると「業務やサービスを完了させ、結果を出す」という部分を重視する契約になります。
システムエンジニアとして仕事を受けた時に委任契約であった場合「システムを構築するために努力をした」ならば結果的にシステムが納期に間に合わなくても、そのシステムが顧客を満足させる出来でなくてもOKということになります。同じ仕事を請負契約でした場合は「システムを構築するために努力した」けれど結果的にシステムが納期に間に合わず、顧客が満足しなかった場合はNGとなります。
先ほどの例だと委任契約のほうが断然有利に見えますが、そうともいいきれません。請負契約は「業務を頑張る」「滞りなく進める」ことを求められていますので、仕事の進行状況を取引先に報告する義務があります。基本契約期間中はきちんと毎日のように作業を進めて頑張っている姿を見せる必要があるということです。しかし請負契約の場合はあくまで「結果重視」なので、納品日までにどのように仕事を進めても構いませんし、極端に言えば手を抜いて作業をしても顧客が満足してくれれば問題ありません。
委任契約と請負契約で大きく違う部分がもう一つあります。それは仕事の中途解約に関しての部分です。委任契約の場合は仕事を依頼した側も仕事を受けた側も自由にいつでも中途解約をすることが可能です。この仕事は厳しいと感じたら辞めることができるということです。
しかし請負契約の場合、依頼側はお金を払えば中途解約をすることができますが、仕事を受けた側中途解約をすることができません。途中で「これは割に合わない」と思っても完成させないと違約金などを取られるケースがありますので要注意です。