業務委託契約を結んで働く時に気を付けたいトラブルは偽装請負のほかに「二重派遣」があります。派遣会社と派遣労働者としての契約をして雇用関係を結んだあと、他の会社に派遣をされて働くのが通常の派遣労働です。しかし派遣された先の会社がさらに違う会社に派遣労働者を派遣するケースがあります。これが二重派遣と呼ばれている問題で法律違反の行為です。ただし派遣先の企業が他の会社から請負契約をして受注した仕事を派遣労働者に任せた場合は二重派遣になりません。このように少しややこしい二重派遣の実態を知っておくことで未然にトラブルを防ぐようにしましょう。
二重派遣とは派遣労働者が派遣先の会社からさらに他の会社へ派遣されるケースを言います。Aさんが派遣会社と派遣労働者としての契約をまず結びます。そして派遣会社からB社にAさんを派遣スタッフとして派遣します。ここまでは普通の派遣です。
しかしB社がさらにC社にAさんを派遣して働かせると二重派遣になり法律違反になります。AさんはB社で働くことは了承しているので問題はないのですが、C社で働く意思は本来持っていないのに無理矢理働かされてしまうのはAさんに不利益になります。これは典型的な二重派遣ですが、さらに巧妙なやり方があります。Aさんが派遣会社からB社に派遣されるまでは同じです。しかしその後C社の仕事をB社が請負契約をして受注し、Aさんに仕事をさせるというケースです。
これは法律違反ではないのですが、実際はC社がB社通さずにAさんに直接仕事の指揮をしていたり、B社の人間が指示をしているように見せかけてC社が指示をしている場合があります。このケースでは実質的にB社はAさんをC社に派遣しているようなものなので二重派遣になります。
上のケースでは派遣会社が直接C社にAさんを派遣すれば問題はなく、通常の派遣になります。しかしなぜB社が間に入るかというとマージンを得るのが目的です。B社が派遣会社に支払うAさんの派遣料よりも多くC社から派遣料を得ることでB社は差額を搾取することができるので、このような面倒な事をわざわざ行うのです。
派遣会社にB社が支払った派遣料が20万円でC社がB社に支払った派遣料が30万円だとします。B社は10万円儲けることができます。ここで問題なのがAさんの賃金の問題です。派遣会社がC社に直接派遣をしていたら派遣会社は30万円派遣料を受け取るので例えば手数料を引いて25万円の賃金を払うことができます。
しかしB社からの派遣料20万円から手数料を引いて賃金を支払うために例えば15万円になってしまっている可能性があります。B社が間に入ったことにより損をしているのは結局Aさんだけということになります。システムエンジニアの賃金は高額に設定されている場合が多いので、このような二重派遣が横行しているといいます。ぜひ注意をしてこのトラブルに遭わないようにしましょう。